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小松礼雄コラム:オーストリアの読めない路面と縁石問題。7位入賞の舞台裏

2016年7月8日

 新生ハースF1チームに移籍し、チーフエンジニアとしてチームのレース部門を統括する小松礼雄氏。オーストリアGPは5戦ぶりにポイントを獲得できたハースF1。しかし、読めない天候と再舗装された路面、そして鬼門となった黄色い縁石などなど、小松エンジニアの手腕が問われるグランプリとなりました。そんなF1最前線のエンジニアの思考と対処法は……F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム第9回をお届けします。

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オーストリアの読めない路面と縁石問題とタイヤ選択
パフォーマンスを出し切った7位入賞の舞台裏

 これまで入賞圏内のパフォーマンスがありながら、そのチャンスを逃すようなレースが4戦続いていましたが、ようやくオーストリアGPで結果を残すことができ、本当によかったです。ここ数戦、常にこのあたりの順位を狙えることは分かっていたのですが、実際に結果を出せてホッとしました。

 今回のオーストリアGPは、去年と違う点がいろいろありました。まずは路面のアスファルトの再舗装が大きな変更で、一番わからない部分でもありました。オーストリアGPのタイヤは舗装後のデータが出る前の5月の頭に選ばなくてはいけないのですが、その後、ピレリが路面の粗さを計測した際に、選択を変更できる機会がありました。計測結果では去年からかなり変わった部分があったのですが、これが実際にどうタイヤに影響するかは想定しかねました。なので、ウチはレースウイークエンドに入って、走り始めて実際のデータが取れてからレースで必要なタイヤの選択ができるように、出来る限り自由度を残した選択をしました。

 3種類のタイヤがどう作動するかが事前の情報では読めない。そういう場合は、とにかくどれくらいフレキシビリティを残さなきゃいけないかがポイントになるので、タイヤの選択はいつもとは変わってきます。逆にシーズン前にテストをするバルセロナなどはタイヤがどう反応するか良く判っているので、セッションごとのタイヤの種類と使用本数をきっちり固めて自信を持ってタイヤを選べますし、レース戦略もどうなるかほぼ事前に見極められます。今回のオーストリアは最舗装とウルトラソフトのため、割合としては3割も判っていない状況だと僕は思っていました。もしその状況で、去年のレースがこうだから、1ストップでスーパーソフト→ソフトとレース戦略を決めてかかったら、それ以外の状況にはまったく対処できなくなります。ですからまずは事前に「自分たちがどれ位、判っているのか」を見極めるのがとても大切だと思います。

 実際、サーキットに到着してから木曜日に最新のピレリの路面計測の結果が出ました。これがまた、事前にピレリが出してきた結果からかなり違っていたのです。このデータが出た時点で、レースでソフトタイヤが2つは必要にならないだろうと判断したので、FP1で使うタイヤの割り当てを変えました。

 また、話題となった黄色い縁石ですが、コースを歩いて最初に見たときから、ドライバーも僕も、3人ともこの縁石の危険を感じました。「きっとシャシーが壊れるし、もしシャシーが壊れなくてもドライバーの体が壊れ危険がある」と話したのを覚えています。見た目でも、それくらい危険性の高い縁石だと感じました。実際、意図して走るようなところでない場所にあのような縁石を置くのはどうかなと思います。

 その縁石にはずっとヒヤヒヤしていたのですが、結果的にはウチはサスペンションもどこも壊れませんでした。他のチームはあんなにアクシデントが起きているのに、どうしてウチは壊れなかったのかと思うけど、ウチのマシンはそれだけ剛性面でマージンありすぎるのかなと(苦笑)。まあ、冗談はさておき、壊れなくて本当にホットしています。

 実際のセッションですが、FP1のプランはかなり難しかったです。午後に雨の予報があったのですが、ウチはウルトラソフトを6セットしか持っていっていないので(他のチームは7セット以上、最多はフェラーリとルノーの9セット)、ドライの場合はFP2のみでウルトラソフトを使う予定でした。しかし、もし午後が雨でつぶれたら金曜日にウルトラソフトで1回も走れないことになります。それだけはどうしても避けたかった。そもそもオーストリアの山の中のサーキットで、朝の10時に天気予報を見て午後の2時に雨がふるのか2時30分まで持つのかなんて確実に予測できるわけないですよね(笑)。ですから、逆の意味でちょっとギャンブルではあるけれども、まだ路面ができていない状況ですがFP1の最後にウルトラソフトで走っておく方を優先しました。

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